世界一優しい人 | マイペースのススメ

世界一優しい人

もし、世界優しい人ランキングをつけるなら、1位はじいちゃんにする。ちなみに2位はオトン。


じいちゃんは口数こそ少ないものの、いつ会ってもニコニコしてて、笑うから余計に目がちっちゃい、90歳とは思えないほどお肌がプリプリなかわいいじいちゃんだ。


いつ会っても、最初の挨拶は絶対に「お前また背伸びたな!身長いくつや?」と言う。ちなみに、自分は15歳で身長が止まったので、全然伸びていない(笑)そんなとぼけたじいちゃんだ。


戦争で大変な思いをしたエピソードを、意気揚々と話すが、3歩進んで、4歩下がるくらいのペースで話すから、全然話が進まない。結局、最後まで聞けたことはないけど、ひとつ確かなのは戦争は大嫌いなことだけ。たぶん、言いたいことはそれがすべてなのだと思う。そんな平和が好きなじいちゃんだ。


自分が幼稚園の頃、自転車でじいちゃんの後ろに乗っていて、ふざけてタイヤにつま先を当てて遊んでたら、足が挟まってしまい12針縫った。12針も縫うくらいやから血めっちゃ出てるのに、慌てて絆創膏で止血しようとしてる場面を今でもハッキリ覚えてる。子供ながら「それでは血はとまらんよ(笑)」と思ったことを覚えてる。それからしばらくはじいちゃんは元気がなかった。そんな愛らしいじいちゃんだ。


以前、一度ばーちゃんが脳梗塞で倒れた時に、ベッドの横で人目をはばからず、「お前が死んだらわしどないしたええねん」って大泣きしてた。結局ばーちゃんは無事に回復したが、回復後のじいちゃんの笑顔がいつもよりにこやかなのには驚いた。そんな涙もろい、人間らしいじいちゃんだ。


気の強いばーちゃんが、「あんた、ラジオ聞いて日本酒ばっかのんで!」って怒っても、ニコニコしながら「また怒られたわ、かなんなぁ」ってゆってるような、へこたれないお茶目なじいちゃんだ。


小さい頃から手話やボランティアに熱心で、いろんな会に参加してた。弱いものいじめとかも大嫌いな正義感の強い、そんな強いじいちゃんでもある。


そんなじいちゃんが91歳の生涯を月曜日に終えた。


いろんな思い出があるけど、結局は究極に優しい人やったんやなと思う。


親族だけで、小さく、そして、ささやかなお通夜とお葬式をした。


使い古された言葉だが、やはり、お通夜もお葬式も、故人が天国へ旅立つためだけでなく、一番は残された家族のためにあるように思う。


お経をあげてる間、じいちゃんとの思い出をひとつひとつなぞりながら、笑いがこみあげてきたり、涙が溢れたり。


で、お葬式でお坊さんがお経をあげている間、ばーちゃんが「アカン、寒いわ、だから長袖にした方が良かったんや。ほんま寒いわ。昨日も寝れへんかったんや。余計に寒いわ、長袖必要やったんやわ。」って結構なトーンで喪主の叔父さんと話してる。


悲しいムードやのに、なんか調子が狂って笑いがこみ上げてくる。


きっと、じいちゃんは仏壇のところに座りながら、ニコニコ笑ってその光景を眺めてるんやろうなと思うとなんだか嬉しい気持ちになった。


大好きなじいちゃん。
天国でもラジオ聞きながら、日本酒飲んでのんびり過ごしてや。お元気で。


合掌